トリートメントについて
前回、髪質改善の種類について触れましたが今回は僕の思う最善のトリートメント工程を書きます。
トリートメントを改めて言語化すると
アルカリ膨潤
↓
CMC/ケラチンや疏水物
↓
酸縮合
↓
コンプレックス
↓
オイル
↓
脱水縮合
かなと思います。
では一つずつ解説していきます。
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○アルカリ膨潤
pHをアルカリ性域に持っていって髪のキューティクルを開き内部までしっかり濡らして膨潤させること
アルカリを使うことでしっかりウェットする時の時短にもなるのと膨潤させることでトリートメントの浸透を良くする
僕が使っているのは、あらゆる施術のサポートができるアルギニン濃度12%のアミノ酸トリートメント
アルギニンはアルカリ性域のアミノ酸でpHは11あたりを指すので少量を入れてしっかりと髪を濡らす
サイエンスアクアのOHやs-100など、Amazonで買えるアルギニンパウダーでも代用可能です。
○CMC/ケラチンや疏水物
髪の中に栄養を入れるというのはこれを指します。
僕が普段使っているものは、申し訳ありませんが企業秘密になります
●CMC(細胞膜複合体脂質)→コルテックス間/キューティクル間にあり、コルテックス同士を接着する働きがある。
脂質(57%)ケラチン(43%)で構成されている。
脂質とはセラミドとコレステロールを酸で混合したもの。
CMCは水や薬剤の通り道となる為、不足すると自由水が増えハリや弾力が無くなったり髪が乾きにくくなったり乾いたら際には乾燥してしまう。
●ケラチン→シスチン結合(硫黄、ジスルフィド結合)を持つタンパク質。
よくあるのは羽、爪、鱗、角などを一定濃度の酸やアルカリによって加水分解されているもの。
分子量が小さい方が内部まで入り、10000を超えるものは表面に吸着することが多い。
●疏水物→代表的な物だとセラックやタンニン等
疏水物を入れることにより髪が水を弾きやすくなる為ドライの時間が短縮される+艶UP+手触り良くなる。
○酸縮合
酸によって髪を引き締めて内部に入れたものを閉じ込める。収斂させること。
これをやることでアルカリに傾いたpHを弱酸性に戻せるのと保ちが良くなります。
一般的に手に入る物だとクエン酸でも代用可⭕️
○コンプレックス
ここでいうコンプレックスとはイオンコンプレックスのこと。詳しく知りたい方はネットで調べてください。
簡単に言うと、アニオン(ー)を付けた上にカチオン(+)を重ねることでコンプレックスさせます。固めるみたいなものです。
よくあるシャンプーとトリートメントはアニオンを付けた後に、カチオンを重ねることでイオンコンプレックス(イオン吸着)を行なって手触りを良くしています。
○オイル
これはシリコンやアウトバスのオイルを指します。
シリコンでのコーティングもオイルですし、アウトバストリートメントでオイルをつけることも同じです。皮膜形成です。
ちなみにコーティング系のトリートメントはシリコンを重い順に重ねているだけのものもあるのでコンプレックス+オイルのみのトリートメントでもシステムトリートメントと呼ばれています。
分かりやすいのがミルボンのリンケージです。
アモジメチコン(重いオイル)
↓
ジメチコン(ちょっと重いオイル)
↓
シクロペンタシロキサン(揮発性のオイル)
こうすると手触りがベタベタにならずに良くなります。このようなトリートメントは時間を置く必要が無いのでクイックトリートメントにもなります。
○脱水縮合
ドライヤーやアイロンで水分を飛ばすこと。
酸熱トリートメントで最後にアイロンをするのはこの為。
脱水縮合を行うと水素結合+イミン結合が出来て、毛髪内部の自由水が反応して結合水になります。
自由水→濡らすと入り乾かすと出て行く水
結合水→髪に結合して残る水、元々人の体の中にある水でマイナスでも凍らず100°Cでも蒸発しない水のこと
イミン結合→毛髪内のアミノ基(NH2)とカルボニル基(O)が脱水縮合することにより出来る結合
ポイントはジューっと言わない程度までドライした上でアイロンを入れて水蒸気をきちんと飛ばすことがマストです。
これをしないと酸熱トリートメントは意味が無くなってしまうのとただアイロンを通しているだけになってしまいます。
ここまでが僕の思う最善のトリートメントの工程です。
従来のシステムトリートメントや、酸熱トリートメントと呼ばれるものはこれを全てやっているものはあまりありません。
ダメージして親水性に傾いた髪を健康な疎水性に戻してあげることがポイントです。
綺麗な髪を創ることにはそれぞれを組み合わせることと、やる事の意味を知ることが大切かなと思います。